Monday, July 10, 2006

再生医学の現状

最近骨髄中に間葉系幹細胞と呼ばれる接着性の細胞が存在しており、シャーレ上で特殊な培養を行うと骨芽細胞・脂肪細胞・軟骨細胞に分化誘導できることが報告された。また、骨髄以外にも様々な組織から体性幹細胞を得る研究が行われている。FACSを用いた研究により、SP(side population)細胞が注目されている。

再生医学の適用例2

また目の角膜を患った患者への治療としてドナーからの提供による角膜移植が行われているが、ドナー提供者が少ないこと、拒絶反応があることなどから、自己細胞を使った再生角膜による治療が試みられている。片目を患っている場合、もう一方の目の角膜の一部を採取して培養し移植される。また両目を患っている場合には口腔粘膜(幹細胞が多く含まれている)より採取した細胞を培養して移植する方法など、研究が進められている。国内では大阪大学の西田幸二らと東京女子医科大学の岡野光夫・大和雅之らのグループや、東京歯科大学の坪田一男らのグループ、京都府立医科大学の木下茂らのグループが有名である。

再生医学の適用例

熱傷の植皮のため、皮膚の表皮細胞を培養したい時、予め制癌剤を投与し増殖をストップさせたNIH3T3細胞を土台にすると、繊維芽細胞による表皮細胞の駆逐を抑え、表皮細胞のみを増殖させることが出来る。この方法を用いてMIT(マサチューセッツ工科大学)のグリーン博士らは切手サイズの組織を3000倍に増殖させることに成功している。培養皮膚で尊い人命が救われた一例として、'90年サハリンで広範囲熱傷を負ったコンスタンチン君のケースは有名である。皮膚培養では毛穴や汗の再生がうまくゆかず、より完全な皮膚の再生を目指して、研究がすすめられている。 実用化が進んでいるのは皮膚培養だが、軟骨・関節の培養の研究も推し進められている。